Sportsの窓

EPISODE 3

2005年 六カ国対抗戦

 【3】


六カ国対抗戦

このページを如何に作りたかったことやら・・とうとうその日がやってきてしまいました

すでに英国本国では4年に1度に行われる南半球遠征の
英国ラグビーファンの『もう一つのWC』とも言われる英国&アイルランドライオンズ
混合チームの遠征選手の発表も先日あり日々盛り上がっています 

栄誉ある主将には初のアイルランドから選ばれたブライアン・オドリスコル

ブリティッシュ&アイルランドライオンズ主将・ブライアン・オドリスコル

その選手選定の試合は今年の六カ国対抗戦とも言われ、
度重なる怪我の為1戦も出場できなかった、
イングランドの本来の主将ジョニー・ウィルキンソン

すでに1年以上前からこの遠征のヘッド・コーチはあのサー・クライブ・ウッドワース
彼の秘蔵っ子のジョニーを外した事に何の抵抗もなかったはずはなく、
本国ではこのことについてはまだまだニュースになっているようです

しかし、その選手選定と囁かれる六カ国対抗戦代表になっていない、
ローレンス・ダラーリオやニール・バックが復活しているのだから
まだまだ国民はジョニー・ウィルキンソンを諦めてはいないでしょう・・

2001年ライオンズオーストラリア遠征時、ジョニー・ウィルキンソン



さて、その大事な面白い今年の六カ国対抗戦の目玉とも言うべき
2月27日に行われたイングランド対アイルランドの試合が
初めて私達の国に放映されたのは先週(4月14日)木曜日の深夜

25時からの放映でも明日の仕事を寝ていたって、
何としてもこの試合だけは観たかった
しかし、当初この大会が始まる前は
あのジョニー・ウィルキンソンとポジションは違っても
ブライアン・オドリスコルとの対決を観たかった・・・
そのことも手伝って、あの試合のチケットは今大会最高の高高値を呼んだ、と思っているのは
私だけではないはず・・

実際この大会は先月19日の最終戦をもってして、
1987年以来というウェールズのグランドスラムにより幕を閉じているのですが
私の中ではこのイングランド対アイルランドの試合を見終わらない限りは終わっていませんでした






2月27日(土)


イングランド対アイルランド
アイルランドの首都・ダブリンのラウンドダウンズ・ロード・スタジアム 
15:00キックオフ

1878年建造のこのスタジアムは、
収容人数49、500人という現在次々に改装されていく他の国のスタジアムと違ってクラシカルな建物です

ダブリンには80,000人収容できる別のスタジアムはあるものの、
ラグビーの為のスタジアムはやはりこの『ラウンドダウンズ・ロード・スタジアム』

この日の1戦はすでにこの前に2戦戦い、
勝利を収めてからの本拠地での今大会初めての試合、
それも長年の宿敵・イングランド戦ともなれば
この試合のチケットを手に入れた一握りの幸運なサポーター達は前日は眠れなかったに違いない



ダブリン・ランズダウンズロードスタジアム

スタンドから溢れんばかりのサポーターを携え、
長い歴史を観て来たこのスタジアムは正にこの1戦の為に若返ったような・・・
まだまだこのままのスタジアムでいてほしいな・・と思うのは私だけではないはず





さて、アイルランドチーム本拠地ということで
大統領のマリア・マッカリース女史が応援に駆けつけ国歌斉唱前に各選手に声をかけて行く・・という1面もあり
1985年以来イングランドには勝利のないアイルランド
この試合に賭けるアイリッシュ魂の1面を見た
そんな想いを感じました

試合開始ギリギリまでグラウンド上でも左腿のマッサージを受けるオドリスコル
すでに2敗を期しているイングランドはこの日の主将も15番のロビンソン・・・
イングランドにはもうあとがありません
この1戦もウィルキンソンの黄金の足はなく、国歌斉唱中も顔色ないホッジソン

ホッジソン

そして、
大事なその日の主審は18歳から丁度今年で20年笛を吹いてきた、
南アフリカから国際大会ではおなじみのジョナサン・カプランさん
試合を途切れさえない定評のカプランさんの笛の元、どのような試合になるのか?
そんな試合の流れになるのか・・?主審の判断も注目でした






実はこの試合を通して私にとっては1番の見所はなんと言っても大好きな『フォワード戦』
この試合開始25秒のファーストスクラムはどきどきするもの

両者がっぷり組んで譲らないスクラムはかつてのWCの時からのイングランドのお家芸
しかし、この試合を全編観た総合的な感想を一言、で、と言われたら
イングランドのマーチィン・ジョンソンやニール・バックのいたイングランドチーム、
そのフォワード力をそっくり譲り受けたかのようなアイルランドの熟練フォワード陣、職人のような働き

アイルランドフォワード陣に捕まるコリー


ラックからモールになり、その都度立ち上がりが早く、
素早く次の動きのモールにしつこく加わる
その展開は正しくWCの時のイングランドチームの頼もしい動き 

それでもさすがにイングランドチームは意地で前半7分8番コリーの初トライ
そのアイルランド・フォワードの崩れかけたラックからの一瞬の隙を飛び出したコリーが持っていったトライは、
残念ながらその後のコンバージョンにはつながらず・・・
ここでもホッジソンは大丈夫か・・?と言った雰囲気が一瞬流れる

それでも以前の2戦を通しての心細さは感じられないホッジソンはその後のゴールはきちんと決めていく




前半はアイルランドのトライはないもののイングランドの一瞬の反則で
オガーラはゴールを着実に決め、シーソーゲームのこの展開は観ている者にとっては一瞬たりとも目が離せない

点を取られても、まったく動じないこのアイルランドチームを試合前に誰が想像できただろうか・・・?

それは、イングランドの主将でもあり、
走らせたらこの人に勝る者はいないロビンソンを封じ込めるディフェンスの強さ
ラックからの早い玉出しは小さなストリンガーが繋ぐパスを受け取り
、バックパスで進むバックス陣
そのバックパスを鮮やかにこなすオドリスコルが
再度ボールを受け取ってから加速していく『斜め走り』の突進


走るオドリスコル


後半、58分イングランド陣営内でヒッキーからの早いパスで右ラインギリギリを突破し、
アイルランド初のトライをしたオドリスコルは目立たぬように小さな握りこぶし
トライ後、駆け寄る仲間に祝福される主将には笑顔はなく・・・
この試合でのちょっとした気の緩みがどのような結果を生み出すかの恐ろしさを身体で知っている
そんな厳しい表情のオドリスコルがとても印象に残っています

しかし、フォワードだけでなくバックス陣で更に骨太になったなーと感じたのは
10番のオガーラ


スタンドオフ・オガーラ


このチームのバックスはWC時からの11番ヒッキー、
15番のデンプシーとオドリスコルを中心にベテランが勢ぞろい
その中でもまだ若手といった印象だったオガーラはこの試合
ハンフリーに出番を与えませんでした
すでに28歳という年齢は今が最上期なのだろう・・と改めて感じたオガーラ


自分でしかけたタックルからラックができ、
その場面で1番下に埋もれていてもいち早く立ち上がり早く、
チャージはするは、よくタックルはよくするは、
イングランドのタンデルと殴り合いになりかかっても一歩も引かない
自分のポジションでの大切なゴールは100%ではなかったけれど、
それでも肝の据わった顔つきを見てこうも成長するのか?と・・・
オドリスコルとは違った意味で頼れるバックスの1人になっていました


オガーラ
この試合の“Man of Match”のオガーラ


しかし、さすがの『王者』のイングランドも試合の流れを変えるべく出てきた
ベテランハーフのマット・ドゥーソンのラックからの玉出しは
やはり若いエリスとは違うことを見せてくたけれど・・・
それを何度も阻止したアイルランド

後半最後のアイルランドゴール前の攻防は、
反則からでゴールキックではなく、
ラインアウトを選んだイングランドの攻めはモールからラックのディフェンスで
これもまたフォワード陣に押し戻され、
得点できなかったイングランドとの分かれ目がここだったような気がします


全てが計算されて、幾度倒れても素早く立ち上がる・・・
このチームのグランドスラムは夢ではないかもしれない・・と
この日ラウンズダウンズロードの観客は誰もが思ったに違いないでしょう・・・





終わってみれば、この試合で印象に残った選手は私にとってはこの皆さん、

フランカー・オコナー
センター・オドリスコル
アイルランド・ウィング・ヒッキー
アイルランド・ロック・オコネル
アイルランド・ロック・オコナー
フランカー・オコナー センター・オドリスコル ウィング・ヒッキー ロック・オコネル ロック・オコナー


モール・ラック・ラインアウトでの攻防戦はフォワードのこの3人
後半のイングランドはキックパスから22mライン内側まで入られたバックスを
ヒッキーの好タックルは1人で2人を止めた、
そのディフェンス力はフォワードだけでなく一人一人が待つチームの強さがここにあること・・・



念願イングランドに勝利したアイルランド


80分間の間決してイングランドの選手に元気がなかったとか、
ホッジソンのゴールが入らなかったとか、という理由ではなく
むしろ両チームの攻防に引き込まれ、
その中でも紙一重にアイルランドの選手が印象に残ってしまった・・・という
・・・そんな見ごたえのある一戦でした・・・
ビデオがあるならば何度でも観たい
(実は我が家には数年前から動かないビデオがあります・・・
結果も去ることながら両チームのオフェンス・ディフェンスだけでも何度でも観たい
年間通してそう思う数少ない1戦のうちの1つです






2005年のシックス・ネーションは先月の19日に3戦を終え、
1978年以来のレッド・ドラゴンことウェールズのグランドスラムという快挙で幕を閉じました

各紙報じる翌日の新聞の1面はこぞってウェールズのグランドスラムを称える記事ばかり
読むのにちょっと一苦労しそうなくらいの量で拙い英語力の私にはこの写真を見ているだけでも精一杯 


翌日のウェールズのグランドスラムの新聞記事



当日現地で見たBBC放送は
この日のために午後ほとんどをこのスポーツの為に割いていました
スタジアムで観戦もワクワクしますが、
日本と違ってラグビー放送は朝から様々なゲストを招いての試合前のプロローグも見逃せません


ロンドンのB&Bアンの家で見る最終戦

私は午後たっぷりとロンドンのB&Bアンの家のシッティング・ルームにて
アイリッシュのアンと一緒に観るテレビ観戦
のんびりとゲームを観る事ができます 





そうして結果的には今年の六カ国対抗戦の成績は次の通り
2005年 勝点
WALES 10
FRANCE 8
IRELAND 6
ENGLAND 4
SCOTLAND 2
ITALY 0

やっぱり気がつくとちゃっかりおフランスチームは2位に・・・
相変わらず気の抜けない負けるのが何より嫌いなおフランスも
今年はイングランドチームよりも高順位、ということで
すでに来年の六カ国対抗戦のスケジュールも発表された今はグランドスラムに向けて
始動開始していることでしょう・・


先ずは私達には目前と迫ったライオンズ戦に焦点をおくことができます

ライオンズ・へっどコーチ、ウッドワース&主将・オドリスコル
ブリティッシュ&アイルランドライオンズチームのヘッド・コーチ ウッドワースと主将オドリスコル


この最強メンバーの試合がどんな形にせよ観る事が出来たら、
こんなに幸福なことはないでしょう・・・






このページを作り終わってみるとイングランドチームよりアイルランドチームの1枚になってしまいました・
今回は勘弁して下さいませ



注)これはあくまでも私個人の感想になります
皆様それぞれのご感想やご意見をお持ちでいらっしゃることと思います
皆様のご意見などお待ちしています








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